サイン オブ ソウル

大会への道〜深き森編パート5〜

     モンスターに吹き抜ける風を利用して風の力を引き出し、
     モンスターを倒すことに成功したヒロキ。
     また少し経験を積みながら、
     3人は町へと向かい続けていった・・・



・・・今、俺たちってどの辺りまで来ているんだ?
モンスターを倒してからしばらく進んできた俺はふと疑問に思った。
確かに村を出てから結構時間が経っているわね。

 町まであとどれぐらいあるのかしら?」
ラーミアもそれは疑問に思っていた。
・・・そうだわ! ねぇ、チルちゃん!
 ちょっと空から様子見てきてくれない?

ラーミアは両手を合わせてチルに頼んだ。
・・・わかりました。
 私、ちょっと見てきます。

そう言ってチルは空に飛んで様子を見に行った。
じゃ、チルが戻ってくるまで休んでるか?
俺はラーミアがそろそろ疲れてきていると思った。
さっきの戦いで癒しの力を使ってから少しも休んでいないのだから・・・
ううん、まだ大丈夫よ。
しかし、ラーミアはまだ平気だと答えた。
本当に大丈夫? さっき俺の傷を治してくれてから
 少しも休んでいないけど・・・

俺が無理はしてないかと聞くと、
本当に大丈夫だって。
 私だって自分の力を一度使ったら疲れてるようじゃダメでしょ?
 私だって何度か自分の力を使って強くなっているんだからね。

ラーミアは強くなっていくのは俺だけではないと言った。
・・・確かに出会った頃より強くなっていたな!

 癒しの力も・・・その口調もさ!」
俺は笑いながら言った。
うん、当たり前じゃない・・・って
 口調が強いってどういうことよ!!

案の定ラーミアは怒った。
どういうことってそのまんまだって!
俺はその怒り口調が強いんだと教えると・・・
そんなことないわよ!
 ヒロキが怒らせているから強くなっているだけよ!

口調が強いのは俺が怒らせているせいだとラーミアは言ってきた。
・・・悪かった悪かった。
 元々じゃないんだな!

俺がさらに冗談を言ったら、
何が元々なのよ!!
と俺の足をひねってきた。


        「痛てててててぇ〜!」


俺はあまりに痛く、声を上げてしまった!
言ったでしょ?
 今度悪い冗談を言ったらもっと痛くするってね!

ラーミアの顔は笑っていた。
そ、そんなこと聞いてないぞ。
俺は心の中で‘鬼だ〜・・・’と叫んでいた。


そんなやりとりはチルの耳にも届いていた・・・


        「痛てててててぇ〜!」


・・・この声は、ヒロキさんの声!

 一体何をやっているんでしょうか・・・・・・
 とりあえず、この先にあるものを教えに戻りましょう。」
チルは俺とラーミアのことを気にしつつ、2人のとこへ戻っていった。


そんなことないわ! 私はちゃんと言ったわよ!
いや、そんなこと言ってないって!
今度はラーミアが以前に‘今度は痛くするわよ’と言ったかどうかでもめていた。
大体ねぇ、女の子に向かってそういう悪い冗談を言うのがいけないのよ!
 そういうことするから痛い目に遭うのよ!

だからって足をおもいっきりひねんなくたっていいじゃないか!
 口に対して手を出すなんてずるいぞ!

俺たちの話はだんだん大きくなってきていた・・・
ヒロキさぁん! ラーミアさぁん!
チルは2人を呼びかけたが・・・
手を出されたくなかったら冗談言わなきゃいいのよ!
そっちこそ冗談なんだから本気にするなよな!
喧嘩していたので2人の耳には届かなかった。
あ、あのぅ、お二人さん・・・
チルはちょっと縮こまってしまった・・・
あっ! チルちゃん! ちょっと聞いてよ・・・
ラーミアはこの話にチルを巻き込もうとした。
ヒロキったらね、私に悪い冗談を言ったから
 思いっきり足をひねったの!
 そしたら、口に対して手を使うなって言うのよ?
 足をひねられたくなかったら冗談言わなきゃいいのにね。

それに対し俺は、
冗談なんだからさ、足をひねるなんてずるいよな?

 普通は口に対して口で返すだろ? チルもそう思うよな?」
俺とラーミアはそれぞれ自分たちの意見をチルに訴えた。
そんなこと言われても困るのです・・・
 それより、大変なことがわかりました!

チルはこの先にあるものを教えようとしたが・・・
何何? やっぱヒロキが悪いよね?
そんなことないだろ? な?
俺とラーミアはどっちか正しいか聞いた!
そんな俺たちにチルもついに・・・



       「お二人とも話を聞いてください!!」



俺たちに怒鳴ってきた!
さすがの俺たちもチルの怒鳴り声にひるんでしまった!
あっ、すいません。 つい怒鳴ってしまって・・・
 それより大変です! この先の様子を見に行ったら・・・
 この森と町の間に少し大きな山がそびえ立っていました!

チルが言った事実に俺とラーミアは・・・



   「何だって!?」  「何ですって!?」



さっきの喧嘩から現実へと戻らされた!
山までの距離はそんなにはありませんでしたが、
 山を越えるには時間がかかりそうです。

チルのその様子から山はチルの言うとおり大きそうだ。
じゃぁ、町に行くには山を越えることになるってことか?
 それって・・・急がないと大会に出られなくなるかもしれないってことだよな?

俺は自分でもわかっていたが、確認するためチルに聞いてみた。
あ、はい、そういうことになりますね。
チルはあっさりと答えた。
それじゃあ、ストームの試し撃ちができなるなるじゃないか!!
 こうしてられない! 早く町に向かおうぜ?

俺は大会に出られなくなるなんてイヤだと思った。
ここまで頑張ってきたのにそれができなるなんて・・・
大会はともかくとして、
 私も町までそんなにあるならさっさと行きたいわ!
 いつまでもこんな森を進んでいくなんてイヤだもの!

ラーミアはこんな所で時間をかけるなら少しでも早く町に行こうと言った。
そうですよね!
 今日はもうそんなに時間がないですから
 早く進んで町に向かったほうがいいですね。

チルもそのほうがいいと意見が一致した。
・・・それより、さっきは困りましたよ。
 お二人とも私にああだこうだの押し付けてきた時は・・・
 でも、あんなにもめていても、やっぱり仲良いですね。

チルはクスクス笑いながら言った。
それに俺たちは・・・



   「そんな事ないって!」  「そんな事ないわ!」



いつもどおりはもっていた。
そんな俺たちにチルはますます笑っていた。
・・・もう早く行こうぜ?
そんな事わかっているわよ。
俺たちは照れつつスタスタと早歩きで進んでいった。
ちょっと待ってくださいよ〜。
チルは俺とラーミアを見つめながら後を追っていった・・・
                     (TO BE CONTINUED・・・)



↑この森の先に山があると知った3人。
 山を越えなければならないとわかったので急いでいると
 またしてもモンスターの襲来が・・・


 次回・・・  大会への道〜深き森編パート6〜
 皆の心が・・・未来を変えていくんだ!!